”温泉教授”の毎日が温泉 第69回 昼間でも氷点下の支笏湖畔で浸かった丸駒の天然の湯に、全身の細胞が覚醒した(下)

私が"源泉かけ流し"にこだわる理由

日本人にとって桜の花は。、五感を本来の姿に修正してくれる最たるものの一つだろう。於、北湯沢温泉(撮影:松田忠徳)

 現代人の感性のもととなる五感ー。聴覚、触覚、味覚、嗅覚、それに特に視覚に至っては、その対象物のほとんどは人間が作り出した人工物といっても過言ではないだろう。だから現代人は疲れるのである。都会人の癒やしの機器類、空間すらも、人間が作り出した人工物、建造物が大半だ。なお疲れる訳だ。

紅葉もまた日本人の感性を高めてくれる。紅葉の移り変わりは非常に微妙で、五感を研ぎ澄ませてくれる。於、北湯沢温泉(撮影:松田忠徳)

 温泉の温泉たる所以(ゆえん)は天地自然が作り出してくれたもの。だからこそ、私は今日に至るまで”源泉かけ流し”にこだわってきた。同じ湯を何時間も何日も濾過・循環して使い回すマガイモノの温泉なら、銭湯の湯と大差ない。
 ホンモノの温泉には皆それぞれ異なる臭い、香りがある。それぞれの人間に個性があるように。なかには色の付いたにごり湯もあったりする。ホンモノの温泉の臭いの違いに気づかなければ相当に臭覚が麻痺していると疑った方がいいかも知れない。「温泉はどれも濾過・循環され、無色透明で、病院やプール、銭湯のような”消毒臭”がする」と刷り込まれている人は、五感が麻痺状態に近いのかもと疑ったほうがよいだろう。

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