温泉を、極める! 第26回 湯を共有する入浴マナーこそ、日本人の姿

入浴マナーに見た「三つ子の魂百まで」

 10年以上前の夏のこと。北海道の稚内市に近い中川町の立派な町営温泉施設でのことでした。
 気持ちよく大浴槽に浸かっていると、3人の親子連れが入ってきました。お父さんはそそくさと洗い場のカランの前へ、すると小学校低学年の2人の兄弟はいきなり浴槽にザブ~ン。頭から大量の湯をかけられた私はもう、ビックリ。
 夏休みのせっかくの家族旅行で、お父さんはパブリックの風呂の入り方を教え損ねたのです。せめて、「チンチンを洗ってから入りなさいよ!」くらいは言って欲しかった。もう何年も、親子で家庭風呂にも入っていないに違いありません。こんな絶好の機会を逃してしまって、何のための夏休みの家族旅行なのかと、私はムッとしたものです。
 というのも、2人の男の子に、「ここはお風呂だよ。泳ぐなら、ほら、すぐ隣に温水プールがあるだろう。あそこで泳いでね」と、私が再三、再四繰り返しても聞き入れてくれなかったからです。
 もちろん、私が腹を立てていたのは2人の若い父親に対してです。その父親は体だけ洗うと、「お~い、上がるぞ!」と声を掛けると、浴槽の私に顔を向けることなく出て行ってしまったのです。父親に聞こえるように2人の子どもに注意したので、私が迷惑をしていることは百も承知だったはずです。
 「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものです。いま小学生の例を出しましたが、入浴マナー違反は年齢を問わない深刻な問題なのです。

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