温泉健康楽 第27回 「 予防の湯 」

 奈良時代の天平5年(733年)に書かれた『出雲国風土記』に次のような一節があります。
 「一たび濯(すす)けば形容(かたち)端正(きらきら)しく、再び浴(ゆあみ)すれば万(よろず)の病悉(ことごと)くに除(のぞ)こる」(この湯で一度洗えば容貌も美しくなり、重ねて洗えば万病すべて治癒してしまう)
 今から1300年も昔に、温泉の本質をこう適切に表現している奈良時代の日本人の温泉に対する認識の高さには率直に驚かざるを得ない。
 西洋医学や薬学が発達した現代では、温泉に「万病すべて治癒してしまう」ことを期待する人々はほとんどいないと思われます。ただ、クローン人間すら生み出せるほど、人類は科学技術を発達させてきたのに、日本では温泉の数は減るどころか、バブルがはじけた後、なお増加しているのです。

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