実はもう数年前から若い世代を中心に湯治への関心は高まりつつあります。
私は特にここ10年、真に心身を癒してくれる“ホンモノ”の温泉を求めるなら、昔ながらの湯治客を受け入れているような宿に向かうべきだと繰り返し講演会で語ったり、書いたりしてきました。恐らくはその影響が一つ。もう一つは、ある有名な俳優が末期がんから生還したことで温泉、そして湯治の驚異的ともいえる効果が知れ渡ったことです。
秋田県鹿角市と仙北市の境界にある八幡平の焼山山麓に位置し、明治時代から湯治場として知られる玉川温泉。1箇所からの湧出量としては日本一の毎分9000リットルを誇るその湯はまた、pH(水素イオン濃度)値1.2というわが国最強の強酸性泉です。その成分のあまりの濃厚さに、皮膚や粘膜がダメージを受けて湯ただれを起こすことから、最初は50%程度に薄めた湯に浸かって、徐々に身体を慣らしていく入浴法が行われているほどです。釘は1日でボロボロになってしまいます。
温泉健康楽 第18回 「 湯治の作用 」
