「湯治」とは、書いて字のごとく湯で病気や怪我を治したり、疲れを癒すことです。しかし、自律神経を調整し、免疫力を高める予防医学の面での役割の方がむしろ大きいのではないかと、これまでの経験から私は考えています。と同時に、穢(けが)れを、心を清めるという意味合いもありました。神道(しんとう)の「禊(みそぎ)」にそのルーツがあります。
日本人は古来、自然に対して畏敬(いけい)の念を抱き、森羅万象に神々が宿ると考えてきました。八百万(やおよろず)の神という言葉が、その思想を表しています。そして大自然、つまり神々と向き合う生活の中で、心身が穢れていることを嫌いました。
今でも神社では、神前で私たちの穢れを取り除く大祓(おおはらえ)という儀式が催されています。
温泉健康楽 第19回 「 温室教の教え 」
