温泉健康楽 第29回 「 病気の芽 」

後藤艮山(こんざん)を始めとする医学者が温泉の効用を説き始めた約300年前の江戸中期から、日本人は本格的に湯治と向き合うようになりました。
 湯治は医学が未熟な時代に無くてはならない医療の一分野を担っていたことは紛れもない事実でした。しかもわれわれの先人たちは、温泉を単に医療の場としてだけではなく、“予防医学”の場としても利用していたようです。
 もちろん当時は予防医学という言葉はなかった。ですが、昔から「白骨の湯に3日つ浸かると、3年風邪を引かない」とか、「去年忙しくて湯治に行けなかったので、今年は体調が思わしくない」というような言葉はよく耳にしました。これなどは経験に則った予防医学の最たるもの。“経験温泉学”なのです。

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