今年は3月から5月までで5回、もう1年分、豊平峡の力漲る湯に浸かった。もちろん免疫力、自然治癒録を高めるためだが、それに入浴者は日本人だけで、北海道や東北の言葉で表現すると”あずましく”、即ちマイペースでゆっくり湯浴みを楽しむことができる環境になったからでもあった。
北海道では高い入浴料にもコスパを感じる

経営者のO社長には申し訳ないが、30数年の間で滅多に経験したことのない理想的な環境で入浴できるので、豊平峡ファンには”桃源郷”のようだ。
「O社長、入浴料金をもう少し安くしてはどうですか?」
「先生、安くしたら、これ以上に込んで大変です」と、O社長は真顔で答えたものだった。
もう20年も前のことだったが、納得した私はそれ以来、料金の話は出さないようにしている。1000円という入浴料は全国的には決して高くはないが、温泉施設が全国一多い北海道では高い部類である。それでも入浴客の大半が若い人たちだということは、彼らにとってコスパが良いということなのだろう。感性の鋭さに脱帽。確かに「これこそが本当の温泉」と直感したから、次には友人を誘うのだろう。