温泉健康楽 第10回 「 湯治こそが“自己”管理 」

 日本人はいつも集団行動的で個性がない、何ごとにも規律を最優先し自己主張がない、などと言われてきました。本当にそうでしょうか。
 ヨーロッパでは温泉療法が医療の一つであるという話をしましたが、温泉が病院と結びついていると考えたとき、何だか違和感を覚えたのは私だけではないはずです。
 温泉はもっと気持ちが良くて、心からリフレッシュできるところ。もっと自由に、思い思いに時を過ごす場のはずですよね。
 考えてみると、現在の日本の病院は欧米のスタイルを踏襲したものです。最新の医療技術や医薬品が揃い、治療に最適な環境が整っていますが、そのシステムは完全に管理型です。
 何時に起きて朝食を食べ、点呼や検温、問診、投薬と綿密にスケジュールが組まれ、タイミングによっては、ゆっくりトイレに行く時間も取れない。夕方5時には夕食を食べなければならず、健康な人間にはまだ宵の口の9時には消灯されてしまう。その後、もぞもぞやっていようものなら、当直の看護師さんに叱られたりもするでしょう。
 幸い、私は温泉のお陰でこれまで入院したことがありませんから、想像で書いてみたのですが、実際にはもっと密なスケジュールかもしれませんね。

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