5.単純温泉の古湯温泉でも、プチ湯治、通い湯治ともに血中活性酸素が大幅に減少
歴史的に名湯が多く、現在も少なくない単純温泉の療養温泉
これまで硫黄泉の寿都温泉や炭酸泉の長湯温泉での実証実験で血中活性酸素が有意に減少することを確認してきた。次に単純温泉の佐賀市の古湯、古湯温泉における実証実験の結果を見てみよう。
単純温泉は含有成分が薄いといわれ、特に成分の濃度を重視する近年、単純温泉はその効能を低く見られがちであった。だが、私は温泉の真骨頂はその抗酸化作用にあると考えてきた。含有成分の濃淡は無視しないものの、「単純温泉は効かない」とは考えていない。
事実、わが国の単純温泉には歴史的に名湯が多かった。江戸時代から明治、大正、昭和の中期頃までは”湯治”の言葉で表されるように、「温泉は病気を治癒する場」であった。ヨーロッパでは現在でも温泉は医療の場で、戦後の日本のような「飲めよ、唄えよ」の遊興の場ではない。
かつて単純温泉に名湯が多かったということは、即ち効く温泉が多かったということである。現在でも単純温泉の療養温泉は少なくない。この連載でもたびたびふれる俵山温泉などはその代表格であろう。岩手県花巻市の鉛温泉や大沢温泉も東北を代表する湯治場だが、ともに単純温泉である。