”温泉教授”の毎日が温泉 第6回 日本初の「源泉かけ流し宣言」

 さる6月27~28日に奈良県十津川温泉郷で、第15回「源泉かけ流し温泉サミット」が開催された。
 十津川温泉郷は奈良県の面積の5分の1を占める十津川村の十津川温泉、湯泉地温泉、上湯温泉からなる。奈良県屈指の湯量豊富な高温泉で、江戸時代の『大和名所図会』全7巻(寛政3=1791年)などの文献を読むと、早くから薬湯として知られていたことが分かる。
 15年前の平成17(2005)年10月1~2日、私の発案で、この地で第1回目の源泉かけ流し温泉サミットが開催されている。実は同じ年の6月下旬に十津川温泉郷は奈良県庁で、わが国初の「源泉かけ流し宣言」を行っている。十津川温泉郷の温泉旅館、入浴施設、全25軒すべてが、”源泉かけ流し”の温泉であることを全国に向けて発信したのだ。
 当時、全国で温泉旅館、入浴施設は約2万3000軒あったが、そのうち”源泉かけ流し”の温泉を提供していた施設は多くて30%未満と推測された。その多くは北海道、東北、九州の温泉である。しかも十津川温泉郷のように中規模以上の温泉地で全ての施設が源泉かけ流しというのは、”温泉大国・日本”とはいえ非常に珍しかった。

十津川温泉郷「吉乃屋」のダム湖を望む露天風呂(撮影:松田忠徳)

 「宣言」の目的は、利用者に「十津川温泉郷の施設であれば、どこも源泉かけ流しですよ」と、分かりやすくするためであった。情報の開示である。当時、温泉業界は正しい情報開示が遅れていた。「温泉分析書」は早くから法令で脱衣場等に掲示が義務付けられていたが、その成分表は入浴者が入る浴槽水のものではなく、泉源で採取した温泉水のものであった。

このコンテンツは会員限定です。無料の会員登録で続きをお読みいただけます。
無料の会員登録
会員の方はこちら
タイトルとURLをコピーしました