”温泉教授”の毎日が温泉 第8回 「源泉かけ流し温泉サミット」の開催

 十津川温泉郷の”行動力”、”真剣さに”、今度は私が真正面から応えなければならないと感じた。全25施設の”源泉かけ流し”達成をいかにアピールするか、知恵を絞った。その結果が翌2004年の奈良県庁に於ける「源泉かけ流し宣言」だった。アクセスの悪い十津川村での記者会見ではメディアの集まりが悪い、こちらから出向く必要があると考えた。
 反響はすさまじかった。宣言以降、全国屈指の秘境、十津川村に村はじまって以来の観光客が殺到したのだ。
 7、8月の夏休み中は大変なことになりそうだが、観光地にとって嬉しい悲鳴となるはずと、夏休み明けの9月まで村に連絡をとるのをやめて、9月の報告を楽しみに待つことにした。

十津川温泉郷「ホテル昴」の庭園露天風呂(撮影:松田忠徳)

 ところが予想だにしていなかったことがこの間に起きていた。8月の豪雨によって山が大規模な地滑りを起こし、大量の土砂が国道を埋め尽くしたのだ。十津川は南北の国道が生命線で、そこが埋まり、河川敷に間に合わせの迂回路はできたものの、監視カメラが捉えたなまなましい地滑りの映像がTVで放映されたため、観光客はまったく途絶えたのだ。空前絶後の賑わいは7月で終わったのだ。

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