温泉を、極める! 第5回 戦国武将と温泉

 春の夜の夢さへ波の夢枕

関ヶ原の後、熱海で1週間の湯治をした家康

 今から400年以上前の慶長9年(1604)、徳川家康は、9男義直(後の初代尾張藩主)、10男頼宣(後の初代紀州藩主)、それに伊達政宗お抱えの連歌師、兼如らを引き連れて、熱海で1週間の湯治をしている。天下分け目の戦いといわれた関ヶ原の戦いに勝利して実権を握り、征夷大将軍に任命された翌年のことであった。冒頭の句は家康が熱海滞在中に詠んだ一句である。
 江戸幕府が開かれ、新しい時代のリーダーとして君臨したとはいえ、関ヶ原の動乱からわずか4年。天下平定のために内圧外圧に抗し、収める手立てを矢継ぎ早に打つ必要があったはずだ。群雄割拠の戦国時代を乗り越え、天下を取ったばかりの家康は、その地位を不動のものとするために、夜を日に継ぐ激務をこなしていたに違いない。

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