”温泉教授”の毎日が温泉 第26回 豊平峡温泉1 200万都市、札幌の極上の秘湯

 今年出版予定の『温泉を楽しむ』の執筆をしていて、急に豊平峡の湯に浸かりたくなった。明日、明後日は週末で込む。これから出かければ5時前に浸かることができる。6時を過ぎたら夕食前にひと風呂浴びて仕事の疲れを癒やそうという人たちが押し寄せるだろう。このタイミングにと、車のハンドルを握った。これこそ、目先の不便さと引き換えに、温泉のある生活を優先させた賜というもの。

温泉成分で月のクレーターのような洗い場(札幌市・豊平峡温泉)(撮影:松田忠徳)

 部屋数200室を超える大型ホテルがひしめく定山渓温泉までは、わが家から7、8分。立ち寄り専門の200万都市”札幌の秘湯”「豊平峡温泉」までは、12、3分。定山渓の手前の黄金湯温泉に至っては4、5分の至近距離である。似たような立地条件の県庁所在地の地方都市は日本ではごく普通にあるはずだ。
 豊平峡温泉は私の”サブ主治湯”。本来なら、十分に主治湯は務まるが、難点がひとつある。込みすぎることだ。恐ろしく若い人たちを中心に人気があるのだ。最近は外国人の姿もかなり目につく。札幌の中心部に住んでいた30年前からこの”現代の霊泉”を知っているが、郊外とはいえ、札幌市南区にあるだけに、いや湯質が抜群なだけに、いつも込んでいて、なかなかマイペースで入浴ができないのだ。したがって未だに”サブ”主治湯なのである。

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