”温泉教授”の毎日が温泉 第13回 個性的な癒しの温泉を見つめて

 温泉の紀行文書きや研究を”職業”として、35年以上になるが、もともと洞爺湖温泉街で生まれ育ったので、”温泉の申し子”といってもいいのかも知れない。
 私の故郷で、現在も住んでいる北海道で好きな温泉を挙げるのはなかなか難儀なことだが、あえて書くと銀婚湯、養老牛、野中、十勝岳、丸駒、ニセコ五色などだろうか。いずれも秘湯といわれる温泉である。

寿命=健康寿命を実践した野中正造さん

 なかでもこと温泉の個性でいえば、野中温泉が突出しているだろう。歴代の経営者も魅力的だ。
 野中温泉は40年近く前から知っているが、最近では2代目経営者だった野中正造さんが、男性で世界一の長寿者としてギネスに認定されたことで、野中温泉の名が一躍全国に知られるところとなった。
 残念なことに今年(2019年)1月に113歳で亡くなった。だがそのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)は完璧ともいえ、亡くなる日までご家族とともに生活しており、食事も同じ物を食べ、寿命も健康寿命も同じというレベルの高さであったことは私もよく知っている。夜の12時に自ら消灯し、寝ながらの大往生だったという。

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