温泉の療養効果は、即効的なものではありません。乱れた生体の諸機関を徐々に正常な状態に戻していくことで、慢性病などを治したりその症状を緩和します。
対症療法を得手とする西洋医学の弱点は慢性病です。温泉はそれなりの期間を必要としますが、この慢性病と“予防医学”に効果的です。病気になりにくい免疫力のある健康な身体をつくることです。
「温泉の処女性」という言葉を残した大正天皇の侍医、西川義方『温泉読本』には、「温泉の作用」として、1)温水による温熱作用 2)温泉が含有する鉱物質やガス体による理化学的・生物学的作用 3)転地による気候の作用───があり、これに食養法(食事)、休養、娯楽、運動等による精神作用が総合的に加わるとあります。
湯治による効果も、これらが複合して得られるものです。じっくり逗留し身体の調子を整えるとともに、精神的にも健全な状態をつくり出していきます。それは自律神経をコントロールする白血球の機能が整えられるからです。
温泉健康楽 第23回 「 心身の再生 」
