これぞ、日本の湯宿 第2回 昼神温泉「日長庵 桂月」(長野県阿智村) 純和風の数寄屋造り、違いのわかる大人の湯宿

名古屋の奥座敷と称される閑静な温泉街

 昔から”美人の湯”と銘打った温泉は少なくなかったが、最近は特に多い気がする。化粧品の原料の自然志向も原因しているのかも知れないが、女性客の誘客が温泉旅館の経営を左右していることも大きな理由に違いない。
 南信州の伊那谷地方、飯田市に隣接する阿智村に湯煙を上げる昼神温泉の名を知る人はそれほど多くないかも知れないが、それこそ”美人の湯”として、名古屋方面に大変人気の温泉なのである。
 知名度こそまだ全国区ではないのは温泉の開発が昭和40(1970)年代と、歴史が浅いことが一番の原因と思われる。にもかかわらず岐阜県を挟んで”名古屋の奥座敷”とも称されているだけに、どの旅館も料理には定評がある。またシルクのような感触の湯は特に女性層にファンが多い。つまり温泉の多い信州にあって、穴場といっても良いのだ。
 温泉街の中央を流れる阿智川の両岸に拓けた、20軒ほどの旅館から成るかなりの規模の湯町にもかかわらず、周囲の自然と調和した落ち着いた雰囲気が中京、東海方面の都会人に受けているようだ。ネオンサイン類、バー、風俗店等の出店が村の条例で厳しく規制されていて、日本の湯町では珍しく閑静な佇まいを醸し出している。

このコンテンツは会員限定です。無料の会員登録で続きをお読みいただけます。
無料の会員登録
会員の方はこちら
テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました