”温泉教授”の毎日が温泉 第10回 飲泉可能な高レベルの足湯「あひるの湯」

 昼神温泉街のはずれ、阿智川の右岸にある質素な足湯「あひるの湯」は、とんでもなく優れものの湯が供給されている飲泉場&足湯だった。
 泉源はすぐ近くで、10メートルと離れていないので、このことを知っている地元の人なら、ここの飲泉用の湯は鮮度が抜群である程度までは理解しているに違いない。

100の風呂に100の温泉という奥深さ

 人間の個性は皆違い、素質も異なるように、温泉も同じものはふたつとしてない。日本では便宜上、温泉は10の泉質に分類されているが、たとえ単純温泉でも泉源、即ち湯元によって皆微妙に、時として大幅に異なる。

「あひるの湯」の飲泉場(撮影:松田忠徳)

 それどころかたとえ同じ泉源から湧き出た塩化物泉であっても、Aの旅館、Bの旅館の風呂に引かれた湯は同じものとは言えない。泉源から500メートル引き湯されたA旅館の湯と1000メートル先のB旅館の湯では当然、酸化の進み具合は異なるからだ。だから世界にふたつとして同じ温泉に浸かることはないと考えてもよいだろう。
 まして同じ登別温泉地区に湧く硫黄泉であっても、泉源が異なれば地下の鉱物質の割合は微妙に違うと考えられ、まったく同じレベルの硫黄泉とは言えない。100の風呂があれば100の温泉がある、と考えてもいい。だから温泉は面白いし、奥が深いとも言える。日本人は優れて個性的な民族だから、このような多様な温泉が好きなのである。そのうえ風呂の造り、石、タイル、木などの素材や種類によっても、実際に風呂に体を沈めて受ける印象、感じ方はまさに十人十色なのである

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