”温泉教授”の毎日が温泉 第64回 幻の温泉古書、ヘールツの『日本温泉獨案内』(1879年刊)を、遂に入手

40年余も探し続けた、幻の『日本温泉獨案内』

 遂に幻の古書『日本温泉獨案内』を入手した。著者はオランダ人薬学者、ヘールツ。この本は141年前の明治12(1879)年に、東京で出版されている。
 わが国の”近代医学の父”と言われているドイツ人医師、ベルツの『日本鉱泉論』(明治13年刊)を永年の探求の結果、2年前に入手した話は以前にもこのコラムで書いた。「見つかれば100万円を出してでも入手したい」と、それほどの気持ちで探し求めていたのだが、ほとんど諦めたときにリーズナブルな値で遂に入手にした話である。
 ただ実際に手にするまでは冷や汗ものであった。翌日からのモンゴルでの講演に出かける日の朝、空港へ向かう30分前に、探し求めてきた古書がまさかのオークションに出品されたことを知ったのだ。モンゴルで4、5か所での講演が予定されていたが、「キャンセルしようか?」、「航空券も往復で支払いが終わっているが、搭乗3、4時間前のキャンセルでは払い戻しもないだろう。それでもこの本の方が優先順位は上ではないか、40年も探し続けてきたのだから」などと自問自答しながら、心は大きく揺れ動いた。ただ、モンゴルで信用を失うリスクもそれだけ大きい。私にとっては、本格的な温泉研究よりもモンゴル研究の年数の方が15年余は長かった。

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