”温泉教授”の毎日が温泉 第52回 6代続く”北海道随一の老舗”、見市温泉の錆び色の湯に浸かる

循環型の風呂が〝濾過〟した鉄錆び色の湯

 かつて鉄錆び色の温泉は珍しくなかった。ところが昭和の終わり頃から平成の始めにかけて、鉄錆び色、赤茶けた色の温泉はなかなか見かけなくなった。

600見市温泉旅館の内風呂の湯口。かなりあつめの湯が注ぐ(撮影:松田忠徳)

 鉄錆び色の湯といえば、いの一番に兵庫の有馬温泉を思い出すが、”濁り湯”の代表的な温泉が姿を消して久しい。原因ははっきりしている。同じ湯を何度も何日も使い回す”濾過・循環”型の銭湯のような温泉が、昭和末期から急増し始めたからである。
 30年ほど前の平成初期には、全国各地で地方自治体による”公共温泉ブーム”が起きたから、本来なら鉄泉が増えても不思議ではなかった。ところが平成に誕生した温泉の大半が濾過・循環型の風呂であったため、結果として、赤茶の湯であっても”濾過”され、無色になった。

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