「健康長寿温泉」のススメ 第8章 第1回 やはり、硫黄泉は万病に効く! ~ 高湯は療養温泉の東の横綱か?

1.硫黄泉は日本の温泉の個性である

(1)硫黄泉は日本の個性

 昔から「硫黄泉は万病に効く」といわれてきた。平成に入ってから、地方自治体の温泉掘削ブームで、水道の水のような成分の薄く、病院のような消毒臭の漂う温泉が市街地に雨後のタケノコのように誕生した反動か、「やはり温泉は山のいで湯だよね」、「硫黄の匂いこそ日本の温泉だ」という声を聞く機会が増えたものである。

地球の新鮮なエネルギーを感じさせてくれる硫黄泉

登別温泉「滝乃家」(撮影:松田忠徳)

 事実、日本列島はまさしく火山列島で、活火山が111も認定されており、そのうち50火山が24時間体制で常時観測・監視されている。訪日外国人観光客が急増するなかで、外国人に人気の温泉は北から登別温泉、乳頭温泉(鶴の湯)、蔵王温泉、草津温泉、箱根温泉、別府温泉、霧島温泉など硫黄泉の系統が多いのも、この泉質が日本の特性であることに気づいているからに他ならない。硫黄泉と火山の分布は一致しており、北海道、東北、北関東、信州などの東日本と九州の一部によく見られる。
 硫黄泉は灰白色、ブルー、乳白色と視覚的にも魅力的なことが多い。硫化水素臭も、濃度が濃くては危険だが、そうでなければ癒やされる。化学的に化合された臭いではない、地球の自然の香りに癒やされる現代人は多い。乳頭温泉郷(秋田県)の鶴の湯温泉が女性客を中心に国内外客から根強い人気なのは、その環境、日本の田舎のたたずまい、あるいは郷土料理だけではなく、何よりも温泉そのものが魅力的だからに違いない。事実、ミルク色の魅力的な色彩と硫化水素の湯の香りは、地中から届けられたばかりの地球の新鮮なエネルギーを感じさせてくれる。瞬く間にココロもカラダも癒やされてしまうのだ。

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