宿を信頼できて初めて、全幅の信頼を寄せられる
私の知見では全国でもっともレベルの高い、即ち‶効く”湯をもつ温泉地は奥塩原温泉郷。なかでも元湯が群を抜く。
前回でもふれたように元湯には現在3軒の旅館がある。それぞれの旅館は複数の自家源泉を有する。1軒宿の湯治場、あるいは複数の旅館から成るものの源泉は同じという湯治場で、昔から‶名湯”といわれるところは他にもある。ところが元湯のようにそれぞれ異なる源泉を複数有しながら、それぞれの旅館の湯が効くとなると現代では稀である。
400年もの昔、宇都宮藩主奥平忠昌が計画的に狭い渓谷のわずかな土地に湯治場を造成したことは、まさに‶慧眼(けいがん)”というべきだった。なぜなら現代でもアクセスに恵まれているとはいえない塩原の最深部にあって、元湯の湯は‶温泉王国・日本”において、科学的にトップ級の湯質を誇ることを私は確認しているからだ。