平成16年の夏、長野県白骨温泉での入浴剤混入発覚に始まる一連の温泉偽装騒動、ニセ温泉問題のニュースが全国を駆け巡りました。
温泉学を専門とする私のところにも、コメントを求めるマスコミからのインタビューや取材が殺到しました。アメリカのワシントンポスト、ニューヨークタイムズなど海外メディアを含め、その数は1カ月半で80件は超えていたと思われます。
例年なら大学は夏休みに入り、講義や講演など長時間立ったまま喋る重労働から解放され、本の執筆に専念できるはずでした。ところが夏休みを目前にしてこの騒ぎが起きたこと、それに加えて札幌は例年にない猛暑。そんな中で、身体が限界を超えていたのでしょう。9月中旬のある夜、いつものように原稿に向かっていて、椅子から立ち上がると、突然、腰に違和感を覚えました。歩こうとすると、腰がカクンカクンとなるのです。生まれて初めて、ぎっくり腰になってしまったようです。
温泉健康楽 第15回 「 馴染みの救い 」
