”温泉教授”の毎日が温泉 第42回 日本女性と”素肌美人”

 奈良時代に書かれた『出雲国風土記』(733年)に、「一度温泉に入ると美人になり、もう一度入るとどんな病も治癒する。これを神の湯と言う」と、書かれている。

『出雲国風土記』の「一度温泉に入ると美人になり~」の該当箇所(所蔵・松田忠徳)

奈良時代の出雲(現在の島根県)の温泉3カ所が出てくる『出雲国風土記』の表紙(所蔵・松田忠徳)

皮膚細胞の酸化を防ぐ温泉の抗酸化作用

 私たちの先人は1300年も前に温泉の本質を見事に衝(つ)いており、その感性の鋭さには驚かされる。化粧品も薬もなかった時代とはいえ、この表現は決して誇張ではなかった。なぜなら令和の現代でもなお、私たちは温泉浴を続けているのだから。

”美肌の湯”として人気の名古屋の奥座敷、昼神温泉(長野県阿智村)。写真は「日長菴 桂月」の露天風呂「観月の湯」(撮影:松田忠徳)

 事実、温泉に入ると「肌がすべすべになった」というだけでなく、「顔のシミが消えた、薄くなった」、「美白になった」などと感じている女性は多い。
 紫外線による活性酸素が原因で、顔にシミ、シワが出来る。酸化現象である。ところが温泉の抗酸化作用は皮膚細胞の酸化を防いでくれる。全国各地の温泉で実施した私どもの入浴モニターによる科学的な実証実験で、肌の抗酸化力だけでなく、張りや保湿度も高まることを確認している。

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