「温泉分析書」の含有成分からだけでは知ることのできない”温泉の見えざるポテンシャル(潜在能力)”を評価するために、温泉水の酸化還元電位を測定する。温泉の生命線である”鮮度”を調べるための温泉評価法である。
詳しくは後にふれるが、温泉水の酸化還元電位が低く、湧出後のエイジング(老化)の速度が遅いと、生体の抗酸化作用に有効であることを、私共は延べ600人を超える入浴モニターの協力を得て確認してきた。
酸化と還元
「酸化」という化学用語は私たちの日常生活の中でもよく使われる。酸素と反応して物が燃えたり、鉄が錆びる。こうした現象を酸化と呼ぶ。私たちの体の細胞も、さまざまな酸化ストレスによって錆びつき、顔であればシミができたり、シワ等の原因となる。これは皮膚細胞のエイジング(老化)である。
皮をむいたリンゴや天ぷら油を放置しておくと、変色したり、魚や肉が腐ったりするのは誰にでも分かる酸化現象である。
一方で、日常的には余り使われていないが、「還元」という化学用語がある。これは酸化された状態を元に戻す反応である。たとえば戸外に放置して錆びついたクギを還元力のある温泉に浸けて置くと錆がとれる。これは温泉の還元作用によって、錆がとれた、即ち還元されたということである。女性の肌のシミが温泉によって薄くなったり、消えるのも、温泉の還元作用、抗酸化作用によって皮膚の細胞が修復されたということである。
こうした還元作用を利用すると、腐ってしまった野菜、果物、魚などは元には戻せないものの、腐りにくくする、つまり抗酸化作用を引き出すことは可能となる。もちろん女性の顔や肌のアンチエイジング(抗加齢)にも応用可能である。