”温泉教授”の毎日が温泉 第20回 生活の場としての共同浴場に惹かれて

 熊本の山鹿温泉から紅葉の名所、菊池渓谷経由で黒川温泉に向かう途中、ちよっと寄り道をして満願寺温泉に浸かった。久々のことであった。
 曲がりくねった山道を縦断してようやく黒川温泉に近づいた時、とっさに「川湯に入りたい」と思ったのだ。九州は連日秋晴れが続いているので温泉好きで込んでいるかもしれないが、平日なので「もしや」と立ち寄ることにした。
 万願寺川沿いに小さな温泉街が開けている。温泉街といっても大半が民家で、小規模旅館が3軒あるきりだ。ところが川沿いの小さな集落に共同浴場が3軒もある。「満願寺温泉館」、「満願寺川湯」、「満願寺上湯」である。
 温泉館は男女別の共同浴場で、それぞれ大小2つの浴場がある。小さは浴場は本当に狭く、事実上貸し切り風呂といって良いだろう。上湯は内湯が一つなので、混浴だが、こちらは事実上の男湯に相違ない。私のお目当ては、温泉館と上湯の間に位置する川湯、通称川の露天風呂。

庶民のコミュニティーの共同湯

 1998年正月明け早々から、翌99年秋にかけて「列島縦断2500湯」の旅を敢行したことがあった。1年8か月で2500湯を巡ったのだが、九州から旅を始めたこともあり、20年経過しても600湯をていねいに行脚した九州の温泉に一番思い出が多い。

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