”温泉教授”の毎日が温泉 第85回 日本の温泉の真骨頂は木造の浴場にある ~ 医学的にいえば、免疫力の中枢である白血球の機能を高めることに繋がる

こころにもからだにも‶効く”から廃れない木造の風呂場

青森県・下北半島の霊場に湧く恐山温泉(撮影:松田忠徳)

 日本で浴舎や浴槽に木が使われてきたのは、もちろん日本が森林の国で、木材がもっとも身近な素材であったことが理由であったでしょう。と同時に、木造の風呂場が心地良い、そこに浸かると真に癒やされる、リラックスできるということを、温泉との長い係わりの歴史のなかで日本人は”経験温泉学”的に知っていたからに相違ありません。
 それが証拠に、私たちは木造の浴舎や湯船に出合うと、自然と笑みがこぼれ、この時点ですでに脳は癒やしのモードに切り替わっています。そう、こころにもからだにも‶効く”から、木造の風呂場は廃れないわけです。
 天井にゆったりとした空間をとった木造の風呂場。たっぷりと温泉が注がれ、濃い湯けむりを上げる木造の湯船。こんな風呂に浸かれば常ひごろの肩の力が抜け、自然と笑みがこぼれるというもの。
 木にはぬくもりがあり、肌ざわりが良く、さらには芳ばしい香りが副交感神経を刺激して、リラックスさせてくれる。副交感神経が優位になると、免疫力も高まります。また木の素材には、温泉の成分によって腐食されにくいという利点があります。日本の温泉によく見られる硫黄泉、酸性泉などはコンクリートを溶かしてしまうので、もっぱら木を使います。

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