1.体温は”予防医学”の基本である
(1)ヒポクラテス曰く、「発熱は病気の治る過程である」
熱を下げることが風邪を治すことと思い込む日本人
紀元前4世紀に活躍し、後に”西洋医学の祖”、あるいは”医聖”と称されるようになった古代ギリシャの医師、ヒポクラテス(BC460~BC375年頃)は、人間の病気が治る様子を観察した結果、治療の過程には「発熱」や「化膿」が伴うことを見抜いた。野生動物や野鳥は病気になると餌を食べずにじっとうずくまっている。発熱に耐え、自ら治す力、自然治癒力を高めるのである。餌を食べないのは、血流が胃腸に集中することなく全身に巡るようにするためだと思われる。
ところが日本人は「発熱=病気」だと思い込み、「熱を下げること」が「風邪を治すこと」であると勘違いしてきた。生体のメカニズムを知ることなく、「病気はすべて薬が治すもの」と思い込んできたせいに違いない。
熱は体内に入った細菌やウイルスが出すのではなく、私たちの体がそれらと闘うために出す。だから安易に解熱剤を使うことは細菌やウイルスに加担することになる。体内の細菌やウイルスは高温に弱く、低温に強い。最近、生活や食の乱れからか、35度台後半という低体温の日本人が増えている。このような人は”生物”としての生命力が低下しているため、病気になりやすく、また治りにくい。