あつみ温泉で歩行者に優しい「くらしのみちゾーン」が今秋完成

山形県鶴岡市のあつみ温泉で、「くらしのみちゾーン整備」が進められている。今秋、完成の予定。
くらしのみちゾーン整備は、歩行者に優しい道づくりを観光地で実践する国土交通省のモデル事業。無電柱化、バリアフリー、休憩スペースの設置などを行う。
2005年度に、通称「川端通り」と呼ばれる湯之里橋−月見橋の610メートル区間を対象としてスタートした。
川端通りは桜の名所として有名だが、歩道が狭く歩道と車道間に段差があり、観光客から「休む所もなく散策しにくい」といった声が上がっていた。
そこで、河川と道路を分断していた柵を撤去して一方通行化、歩道と車道をバリアフリー化し、無電柱化、休憩スペースの設置を行った。
その上で、植樹を設けて曲線道路とし、車が速度を落とす構造にし、道路全体の幅の半分以上を歩道とするなどの工夫が施されている。
設計は山形県景観審議会委員の堀繁東京大教授からアドバイスを受けた。旧温海町時代の2002年度に設置されたベンチや足湯、県が整備した休憩スペースなども活用された。
総事業費は約2億円。無電柱化が国の研究事業に組み入れられ、市の負担がなくなったため、当初の想定よりコストが大幅に圧縮された。湯之里橋−葉月橋間はすでに完了。2008年度は葉月橋−月見橋の270メートル区間で整備を進める。
あつみ温泉では、ピークで年間35万人を数えた観光客がおよそ20万人までに減り、旅館や商店の閉鎖が相次いでいる。温泉の復興を目指し、事業に対する期待は大きい。
10月には、住民や商工会、観光協会が主体となって記念事業を開催する計画もある。