< 公営温泉が凍える冬 原油高値いつまで? >

徳島県内の公営温泉施設が原油価格の高騰で打撃を受けている。重油や灯油をボイラーに使う施設の大半で、年度当初に比べて燃料費が大幅にアップしている。経営が圧迫され、補正予算を計上する自治体もあるという。
水温が下がる冬場は、ボイラーの稼働時間が長く燃料の消費も増える。夏季以上に原油高の影響が大きく響く。那賀町の四季美谷温泉の平井滋支配人(58)は、「燃料費がかかるからと言って湯温を下げるわけにはいかない。このままでは経営にも深刻な影響が出そうだ」と頭を抱える。
県内に22カ所ある公営温泉のほとんどで、この半年余りの間に燃料費の支出が20〜30%増えた。那賀町のもみじ川温泉では、ボイラーに使う灯油の単価が4月から11月までに31%上昇。重油を使う三好市のいやしの温泉郷でも12月までに24%上がった。
燃料費の高騰を受け、対策に乗り出す施設も出てきた。阿南市は、船瀬温泉保養センターの燃料費115万円の追加を盛り込んだ補正予算を12月議会に提案した。
燃料費とてい支出の30%近くを使う板野町のあせび温泉は、「250万円程度の増額補正が必要」と試算する。木くずチップを燃料にするボイラーの導入も検討している。
阿波市の御所の郷は、11月に電気温水施設を導入。燃料費の節約に取り組んでいる。このほか、入浴時間の短縮や入浴料の値上げを検討する施設もある。
燃料消費が1年で最も多い冬本番を迎え、関係者は「いつまで高値が続くのか・・・」と悲鳴を上げている。
一方、木質チップボイラーを中心に使う上勝町の月ケ谷温泉や、重油ボイラーと電気温水施設を併用している神山町の神山温泉では、原油高騰の影響は少ないとみている。