< 修善寺で女性のお一人様歓迎、 「のんびり」、「癒やし」で人気 >

静岡県伊豆修善寺の老舗旅館「湯回廊菊屋」には最近、「一人でも大丈夫ですか?」という問い合わせの電話が増えている。360年の歴史をもち、夏目漱石が長期滞在したことで有名な格式高い旅館も、お一人様も歓迎の宿に様変わりつつある。
菊屋は平成18年7月のリニューアルに際し、団体旅行の減少で需要が期待できない大宴会場をなくし、シングル対応の8部屋を新設した。利用客は20、30代の若い女性や主婦が中心。2泊してのんびり温泉とエステを楽しむ客が多いという。
女性の一人客は、かつてはトラブルなどの懸念もあって敬遠されたが、今ではその獲得に向け工夫を凝らす動きが広がっている。
菊屋をはじめ全国でホテル・旅館の運営を手がける共立メンテナンス(東京都)では、新規開業する温泉宿にシングルルームを完備させている。グループやカップルなどが周囲を気にせず楽しめる食事処や貸し切り風呂なども整備し、一人客でも寂しい思いをさせない工夫をしている。
同社ホテル事業本部の飯島隆リーダーは、「個人旅行が増え、一人客が無視できない市場になった。一人で快適な時間を過ごしてもらうことで、友人や家族と繰り返し訪れていただけるようになれば」と話す。