庄助 
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温泉エディトリアル

第6回 闘う温泉(後編)

 家で入るお風呂を考えてみましょう。当たり前ですが、おじいちゃん、おばあちゃんから子どもまでたくさんの人が入ったお風呂のお湯は、老廃物などでどうしても汚れます。分泌物や汗などがどうしても出ますから当たり前です。おそらく家族が5人もいれば、毎日湯を換えないと汚いのではないでしょうか。
 ただし、汚いからといって、すぐに塩素なり消毒薬を入れる、というご家庭はあまりないのではないかと思います。普通はお湯を換えつつ毎日掃除だってするでしょう。毎日磨いていれば、1日5分磨くだけでもじゅんぶんなはず。それほど大変なことではありません。ところが、問題のある温泉宿では、それが違うようです。もちろん、大きな浴槽をいくつも、日々の仕事だ、ということになれば大変なのはわかります。それにしても、それが大切な管理者の仕事のはずです。
 少し話はそれますが、食べ物のことでも温泉のことでも、「自分の家だったらどうか」を基準に考えると答えは出てくるように思います。食品添加物のことが話題になっていますが、自分の家で作ったものはすぐに腐ります。それが腐らないということは、なにか「腐らせないもの」が加えられているはずなんです。お湯だって同じです。新しいお湯が流れていないのに、たくさんの人が入っても大丈夫な浴槽には、必ずなにか仕掛けがあるはずなのです。
 だからこそ、今回訪れた野沢温泉の手間のかけ方には感動しました。共同浴場を分担して掃除し、訪れた観光客にまで開放する姿勢。そして、提供するお湯を保証しようとする誠意。もちろん商売をしていく上で、プロとして必要なことでしょうけれど、なかなかできないことです。 
 それでは、温泉ファンがこういった姿勢や経営者を支持するにはどうしたらいいのでしょうか。答えはひとつ。シンプルです。
 「そこに行くこと」しかありません。その場に出かけて、湯に浸かり、お金を落とすことで「支持」できるのです。もし、野沢温泉の姿勢に共感するひとがいたら、まずはその湯に浸かってみる。ここからはじめるしかないでしょう。
 『25点満点評価つき 温泉旅館格付ガイド』で、松田教授は野沢温泉のいくつかの宿を勧めています。筆頭にあげられているのは、森社長のセンスが光る「旅館さかや」。そういえば、ここは知り合いの大学教授の先生が、学生時代の仲間と毎年訪れるといってましたっけ。昼はスキーをして、夜はマージャン。日を追うごとにスキーの時間が減るのだそうですが、いつも3泊ほどして英気を養うのだそうです。「料理がおいしい」「スキーをした後の体に温泉が利く」と評判がよいそうな。毎年来続けて10年というから半端じゃないですね。
 私の個人的な感想としては、湯上りにだらだらできるスペースが確保されていることが気に入りました。玄関先やその休息スペースに置かれているのは、ほとんどが森社長の蔵書なのでしょう。スキー競技でオリンピック出場が決まったのとほぼ同時期に癌が見つかり、結局オリンピック出場を果たせないまま夭折された森社長のご次男についての本もおかれています。「旅館さかや」は、まずはお湯質が抜群なこと、そしてちょっとそぞろ歩けば共同浴場で温泉風情が楽しめるところなど、他すべてが満点印のすばらしい宿です。
 温泉内の「村のホテル 住吉屋」「常盤屋旅館」「旅館 清風館」なども、私自身は訪れる機会に恵まれなかったのですが、すばらしい宿だそうです。次回はスキー板を持ってどこかの宿にお邪魔しようかと思っています。ろくに滑れませんが、多少転んでも温泉が痛みを癒してくれることでしょう。
 何回にもわたり野沢温泉について書いてきました。ぜひ、野沢温泉に出かける際には、すばらしいアンチエイジングなお湯に自分が入っていること、温泉を維持するために努力している人がいることを思い出してお湯に浸かりましょう。効き目も抜群になること、間違いなしです。

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